学部課外活動「ベンチャー体験工房」教育の一環として、外部講師による特別講義は下記の通り予定されています。
興味のある方は、是非ご聴講下さい。
・日時:2017年11月6日(月) 18:10-19:40
・場所:研究棟325-F
・講師:早稲田大学人間総合研究センター 客員研究員 戸川達男先生
・題目:身体のケアと心のケアの未来
・要旨
身体のケアだけではなく心のケアまで包含した全人的医療の必要が認識されるようになってきている。しかし、身体のケアが近代に大発展したのにくらべると心のケアにはまだ発展の兆しさえ見られない。現代医療の基礎には、基礎医科学のほかに近代科学を駆使した医工学技術の発展が大きく貢献したが、心のケアについては、これらの基礎科学に相当する学問分野とその応用技術がまったくない。もし近未来に心のケアの大発展があるとすれば、心の基礎科学が興ることがまず必要であり、その上ですでに数多く報告されている良い心のケアの事例を参考に、成功した心のケアの実例をはるかに超える心のケアを大多数の人に適用し、疾病や障害を持ちながら長く生きる人に、健康な人と違いない生きることの喜びと満足を与えられることを目標とすべきであろう。しかし、身体のケアと比較すると、心のケアには身体の個人差よりはるかに大きな心の個人差があることを考慮しなければならない。したがって、遺伝子検査よりはるかに詳細な心の構造の個人差まで分析しなければならないかもしれない。
以上のようなシナリオが実現されるとすれば、心のケアが200年ないし300年先までに大発展し、身体のケアから200年程度遅れたとしても、心のケアはやがて限界に至り、その後の人類の歴史の終りまで、身体のケア、心のケアともそれぞれの限界に近い高水準の技術レベルが維持されていくことになるであろう。その高水準を支えていく技術の実現こそ未来技術の大目標であり、人類の超長期超大型プロジェクトとなりうるものである。