学部課外活動「ベンチャー体験工房」教育の一環として、外部講師による特別講義は下記の通り予定されています。
興味のある方は、是非ご聴講下さい。
・日時:2015年6月11日(木) 16:30-18:00
・場所:研究棟325-F
・講師:早稲田大学人間総合研究センター 客員研究員 戸川達男先生
・題目:長寿社会の未来
・要旨
楽観的な予想では、世界の総人口の増加が今後100年くらいで止まり、その後出生率がほぼ2.0となって、さらに100年以上経過して、人口に占める年齢分布が平均寿命近くまでほぼ平坦となると言われる。それまでの過渡期をどう乗り切るかは切実な問題には違いないが、未来の長寿社会像を描くならむしろ200年か300年後以降を考え、そこにぜひとも実現したい魅力的な姿を描くことができなければ、人類に明るい未来を期待することはできない。更に、魅力的でしかも実現可能な長寿社会像を描くこと自体、既存の知識をはるかに超える知恵を必要とする難題であり、問題を認識すること自体がまだ手つかずの段階にあって、その解決にはこれまでかつてなかった超長期にわたるビッグサイエンスを必要とするに違いない。そこに希望があるとすれば、それは問題の難度の高さであり、難度が高ければ高いほどチャレンジャーにとっては大きな魅力となることが期待できる。高々120年くらいの人間の最長寿命の数倍よりも先にある、魅力にあふれる長寿社会の未踏峰を垣間見ることができるいま、そこに到達するためのルートを見出さないかぎり人類に未来はない、というのは誇張ではなく、むしろ起りそうな結果である。今回の講演から、「長寿社会の未来」という一見平凡なテーマの中にある、問題の難度の高さと、その難度に見合う魅力を感じ取っていただけることを期待したい。